2008年5月1日木曜日

新生児医療の現実・・・赤ちゃんの声なき声

救急医療や産科、小児科などの医療体制の崩壊で、新生児医療にも今、大きな問題が出ています。
新生児医療の現場で、今、未熟児にどのようにして授乳しているかご存知ですか?
赤ちゃんは抱っこしてミルクを飲ませる…そう思いますよね。でも現在の医療機関では、全国の過半数のNICUで、未熟児を抱っこして授乳させられないくらいの状態になっています。赤ちゃんはどうやってミルクを飲んでいるかというと、赤ちゃんの横に哺乳瓶をおいて「一人飲み」をしている状況だそうです。これは、医療の現場で、「1人の夜勤看護師が大勢の新生児を担当することを許す体制」が原因ではないかと考えています。
通常、病院には看護基準というものがあり、看護師一人に対して患者さんを何人まで受け持つというきまりがあります。
しかし、新生児を扱う病棟に看護師の配置基準がなく、狭義のNICUは3対1看護体制(看護師1人に新生児3人)であったとしても、回復期病棟は成人の配置基準と同じになっているのです。 「でも、回復期なんだから大丈夫なんじゃないの?」と思うかもしれませんが、そもそもNICUが慢性的にベッド不足のため、本当ならまだNICUで看なければならない人工呼吸器管理下の新生児も、どんどん回復期病棟に押し出されているのです。その結果、夜勤看護師1人が担当する新生児が1晩で9~10人も担当することになり、さらに病院によっては看護師1人が15人も受け持つような状況になっているようです。
 このような状態では、安全に看護できないので、現場では大問題になっているようです。
同じ乳児を預かる保育所と比較してみると、保育所では児童福祉法施設最低基準により保育士1人当たりの受け持ち乳児数は3人までとケアの質が保証されており、回復期病床とは極めて対照的です。 このような手薄な状況下では、NICUへの新規の入院を断らなければいけなくなっているばかりではなく、更に『一人飲み』をしなければならない状況でわかるように、入院中の赤ちゃんたちへのケアの低下、リスクの上昇として現れます。私は、様々な情報を集めていますが、正直なところ、NICUの現場がここまで切迫していたことを知りませんでした。このような医療崩壊を阻止するためには、現場からの情報発信が必要だと思います。それぞれの分野の医療関係者が、問題提起をしていくことが、医療崩壊を食い止めるためには大切なのではないかと思うのです。
生まれてくる赤ちゃんたちがこのような医療を受けることのないように、そして、病気になった方たちがきちんと医療を受けることのできるように、私なりに情報受信、発信していきたいと思います。 

2 件のコメント:

スネイクヘッド さんのコメント...

...赤ちゃんがミルク一人飲みできるんでしょうか?絶句です。なんて【厳しい】現実なんでしょう...。
昨日の新聞記事で、日本の24時間救急受け入れ可能な小児集中治療室(PICU)は全国で10施設に満たないそうです。ベッド数が全く足りません、その理由に経済効率の悪さが上がってますが、素人目には「そんな、人の命がかかってるのに経済効率どうのこうの言ってる場合じゃないだろ!?」と思うのですが、現実はシビアなんでしょうね...。
新生児の死亡率は先進国でもっとも低いのに、1~4歳の乳幼児になると10万人当りの死亡率は28,6人でワースト2。PICUの設備状況が子供の死亡率と関連があるといわれているそうですね。この現状は施設を造る際の巨額の費用、医師の診療報酬などクリアしなければならない問題が大きいですね。何よりも小児救急に真剣に向き合う医療関係者の想いを国、自治体、厚労省は、支援と運営費補助を強く願います。
これからの未来に生きる、罪なき子供たちのために。

erica さんのコメント...

医療崩壊は、国全体で取り組む問題ですが、将来を担う子供たちの環境を作ることは日本だけではないような気がします。